あまり認識することはないかもしれませんが、あらゆる規格に基づいて私たちの生活は成り立っています。
規格は安全性や、環境規制、市場ニーズへの適応など様々な要因で改訂されることがあります。規格が改訂されたとき、メーカーは改訂内容を把握し製造のプロセスを見直す必要があり、ユーザーは改訂された内容に対応した製品であるか確認する必要があります。
今回は弊社製品も該当するKTW規格の改訂についてお知らせします。
KTW規格とは
KTW規格とは、ドイツ連邦環境庁(UBA)が定める飲料水接触材料に関する規格で、Kunststoffe und Trinkwasserというドイツ語の頭文字を取りKTWと呼ばれています。
飲料水の製造、供給、保管に使用される製品やその材料が、有害物質・汚染物質を水中に溶出させないことを保証することが目的の規格で、対象範囲は以下のような製品です。
- 配管・ホース類→PVC(ポリ塩化ビニル),PE(ポリエチレン),PP(ポリプロピレン)製のパイプやチューブ
- ゴム部品→Oリング、ガスケット、パッキンなどのシール材
- コーティング材→タンクや貯水槽の内面コーティング
- フィルターやバルブ→浄水器、蛇口のバルブ
KTW規格は「KTWガイドライン」として適用されていましたが、2019年に新しい「KTW-BWGL(評価基準)」が導入され、2021年3月から適用が開始されています。
KTWからKTW-BWGLの変更点と内容とは
新しい基準となったKTW-BWGLは、対象となる製品の製造工場の監査やサンプリング試験の追加、UBAが指定する試験所でのさまざまな試験を実施する必要があります。
どのような内容に変更になったかまとめました。
項目 | (旧)KTW | (新)KTW-BWGL |
---|---|---|
認証方式 | 自己適合宣言可 | 公式認証必須 |
試験内容 | 主に溶出試験 | 溶出試験・微生物試験・耐久試験 |
工場監査 | 無し | 必須 |
認証の有効期間 | 期限なし | 定期更新が必要 |
ドイツ国内で飲料水用途として販売する場合は、必須となることが多いためKTW-BWGL認証を取得していない場合はご注意ください。
日本国内でKTW-BWGL改訂が関連するケース
KTWはドイツの規格になり、「日本では関係ない」と思われるかもしれませんが、以下のようなケースだと関係してきますので、該当しないか念のためご注意ください。
- ドイツ市場で販売する場合
→日本国内への販売にKTW-BWGLの法的な義務はありませんが、ドイツ市場に販売するには認証が必須となります。ドイツメーカーに部品を提供し、その製品がドイツ市場で流通する場合も必須となります。 - 欧州規格を重要視する日本企業へ販売する場合
→日本国内でも、ヨーロッパ市場と取引がある企業や、本社がヨーロッパにある外資系企業へ販売する場合、KTW-BWGL認証を求められる場合があります。
日本国内だけで販売するのであればKTW-BWGKは不要ですが、ヨーロッパ向けの場合はご注意ください。
コタニが販売するKTW-BWGL認証商品
KTW-BWGL認証ガスケット”BA-KTW-G”
スロベニアに拠するDONIT TESNIT社が製造するBA-KTW-Gガスケットは、KTA-BWGL規格の認証を受けた製品です。
従来、KTW規格を求められる場合は、BA-Uをオススメしておりましたが、この規格の改訂と共に新しい製品を発売することになりました。
BA-KTW-Gガスケットはアラミド繊維、無機充填剤、NBRバインダーで構成され、連続使用温度が200℃ほどで、ガスケットとしてバランスの取れた耐薬品性とシール性を兼ね揃えた白色のガスケットです。
今回ご紹介しているKTWーBWGL認証の他に、以下規格にも対応しています。
- EC1935/2004
- FDA
- WRAS
もっと詳しい情報が知りたいという方がおられましたら、ぜひお問い合わせください。
最後に
規格は社会状況、事故、ニーズなどあらゆる要因で改訂が行われます。自社製品で認証している規格があれば、最新の規格に対応しているのかどうか、これを機会に見直していただければ幸いです。また自社製品の図面にもし「KTW規格準拠」などと記載されている場合、その製品がKTW-BWGLの認証に移行完了しているかも合わせてご確認いただければと思います。